神道(しんとう)の形式によって行われる葬儀のことを神葬祭(しんそうさい)と呼びます。神葬祭では、人が死亡しますと、神社の神職が神道の形式にて葬儀を執り行います。神道で行われる葬儀は、仏式とは大きく異なります。仏式は故人を極楽浄土に送るための葬儀をしますが、神葬祭は故人の御霊をその人に家にとどめ、家の守護神となってもらうための儀式をします。神葬祭では仏式のように焼香や線香を用いません。神道において死とは穢(けが)れであるため、神の鎮まる聖域である神社で葬儀を行なうことはほとんどなく、故人の自宅か、別の斎場で行います。
神葬祭での注意点は、仏式と違い、数珠を使うことはありません。何故なら、数珠はもともと僧侶がお経を読む際に数を数えるために使っていたものであり、神道では使用しません。不祝儀袋にはさまざまな種類がありますが、神道では蓮の花の入っていないものを使い、水引は黒と白の結び切りです。表書きは「御霊前・御神前・御玉串料」などです。また、挨拶で仏教用語である「冥福」「成仏」「供養」という言葉は使ってはいけません。神道では、「御霊のご平安をお祈りいたします。
」という言葉を使うようにしましょう。神道と仏教とでは、死に対する考え方や葬式の意味が大きく異なりますので、神葬祭に参列する場合にはマナーなどに十分注意しましょう。弔意を伝えるための仏教で使われる挨拶の言葉や作法を使ってしまうと、かえって失礼になるので、そのようなことがないようにしましょう。