漫画やアニメで描かれるお葬式のシーンで、良く使われる念仏の言葉は、「ナンマイダ」。ですが、実際にはこの様な念仏はありません。また、お念仏はお経の中のごく一部分であり、それは仏教の各宗派の教えについて短い言葉に集約したものだと言えます。
そして、そのお念仏を参列した人たちで唱える事で、故人の魂に、あの世への引導を渡します。その準備を整える為に、袈裟を身にまとった僧侶が、仏の教えが書かれた経典を読み上げることを読経と云います。読経では、故人の俗名や戒名、そして、参列者を焼香に導くまでは何となく言っている事が分かりますが、木魚などを叩きながら次第に佳境に入って来ると、全く理解できない言葉に変わって来ます。
そして、宗派により微妙に違ってもいるので、何だか音楽みたいに聞こえる時もありますよね。インドが発祥の地である仏教は、基本サンスクリッド文字(梵字)で書かれ、同じ様に読みあげているので、日本人には耳慣れない言葉が延々と続いていきます。
経典がシルクロードを経て中国(唐)にもたらされていく中で、その音の漢字を当てはめていった訳です。その為、禅宗ほど、よりサンスクリッド語に近く、日蓮宗や浄土宗など、日本の僧侶が独自の教えを加えていったことで、より日本語に近くなっていると言えるでしょう。この様に、読経によって宗派が異なる事を知っておくと、何となく故人のバックボーンが感じられて、お葬式で、穏やかな見送りが出来る様になって来るでしょう。